残尿感
はじめに
残尿感とは、排尿後も尿が残っている感じがする状態を指し、膀胱炎や前立腺肥大症、過活動膀胱などさまざまな原因で起こります。
特に「すっきりしない」「何度もトイレに行きたくなる」といった症状は、日常生活に不安を感じる大きな要因となります。
本記事では、残尿感の原因や考えられる病気、対処法、受診の目安について、男女別の特徴も含めわかりやすく解説します。
残尿感とは?

トイレに行っても「またトイレに行きたい」「おしっこを出しきれていない」といった症状に悩む方は少なくありません。
残尿感とは、排尿後、尿が出し切れていない感じがして、すっきりしない状態です。膀胱に実際に尿が残っていなくても残尿感を覚えることもあります。
泌尿器系の病気では残尿感を生じるものが多いため、残尿感でお悩みの場合は、原因を特定するために医療機関を受診して検査を受ける必要があります。
男女で共通する残尿感の原因
排尿の仕組みは男女で異なるため、残尿感の原因によっては、男性に多いもの、女性に多いもの、共通するものがあります。ここでは、男女で共通する残尿感の原因を紹介します。
膀胱炎
膀胱炎は、尿道から膀胱に細菌が侵入することで起こる炎症です。主に肛門付近にある大腸菌による感染で生じます。
膀胱炎になると膀胱の知覚異常が発生し、膀胱に尿が残っていなくても、残尿感を覚えることが特徴です。その他、排尿時の痛み、頻尿、下腹部の不快感といった症状があります。
急性膀胱炎の場合、抗菌剤を使用した治療によって症状の改善が期待できます。ただし、再発を繰り返すこともあるので、生活習慣を見直して再発予防に取り組むことが大切です。
また、男女で共通する残尿感の原因ではありますが、女性に多い傾向があります。女性は尿道の長さが男性よりも短く、肛門からも近いため大腸菌に感染しやすいからです。
過活動膀胱
過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、膀胱内の尿量が少なくても強い尿意を感じる病気です。
急な尿意を我慢できない、頻繁にトイレに行く、夜間の頻尿、残尿感といった症状があります。
脳の病気や神経の病気のほか、前立腺肥大症、加齢、自律神経の乱れなどが主な原因ですが、原因がはっきりと特定できないこともあります。
膀胱結石
膀胱結石とは、膀胱内に結石ができる病気です。
結石が膀胱壁にあたって、膀胱を直接刺激することにより、膀胱に尿が溜まっていなくても残尿感を覚えます。
また、結石が尿の流れを止めることで排尿がしづらくなり、実際に膀胱内に尿が長くとどまってしまうのも残尿感を覚える原因です。
残尿感のほかに、排尿痛や頻尿、強い腰の痛みなどの症状が現れることがあります。
神経因性膀胱
神経因性膀胱とは、膀胱をコントロールする神経が異常をきたし、残尿感や頻尿、尿失禁などを起こす状態です。
脳神経疾患や糖尿病、前立腺肥大症などの影響で神経に異常が生じることが原因です。
症状緩和のために、膀胱の機能を改善する処方薬などによる治療が行われます。
糖尿病
糖尿病が悪化すると、合併症の「糖尿病性神経障害」により膀胱の働きが低下します。
筋肉の収縮力が低下して尿を出し切れない残尿感や、神経の過敏反応による頻尿が主な症状です。残尿感があると、またすぐに膀胱内に尿が溜まり、頻繁に尿意を感じやすくなります。
また、尿を出し切れない状態が続くと尿路感染症のリスクも高まります。
頻尿や残尿感は糖尿病の重要なサインである可能性があるため、自己判断せず早めに医療機関へ相談しましょう。
女性特有・女性に多い残尿感の原因
女性は男性と比べて尿道が短く、肛門と尿道との距離が近いため、尿道から細菌が侵入しやすくなっています。また、加齢や出産などで骨盤の底に位置する筋肉の筋力が弱まることで残尿感につながるのも男性とは異なります。
ここでは、女性特有の残尿感の原因を紹介します。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は、骨盤底筋群という筋肉群の筋力が低下し、膀胱や子宮が下がってくる女性特有の病気です。
通常、膀胱や直腸、子宮などの臓器は、骨盤底筋群に支えられていますが、骨盤底筋群がゆるむと膀胱を正しい位置に保つのが難しくなります。臓器が下がることで尿道が圧迫され、尿が出にくくなり、残尿感を覚えます。
特に、妊娠や出産などにより骨盤底筋群にダメージを受けることで、骨盤臓器脱による残尿感を覚えやすくなります。
腎盂腎炎
腎盂腎炎(じんうじんえん)は、腎臓が細菌に感染する病気です。尿道から侵入した細菌が、膀胱や尿管をさかのぼり、腎臓に達して炎症を起こす病気です。
女性に多い病気ですが男性が腎盂腎炎になることもあります。
特に、妊娠中は子宮によって尿管が圧迫されたり、尿管の収縮力が低下したりするため、腎盂腎炎のリスクが高まると考えられます。
残尿感のほかに、排尿痛や頻尿、高熱、激しい腰・背中の痛みといった症状があります。
男性特有の残尿感の原因
男性は女性と比べて尿道が長く、形が曲がっているため、排尿後も少量の尿が尿道に残りやすいといった違いがあります。そのほか、男性の臓器「前立腺」が残尿感に影響を与えるのも特徴です。
ここでは、男性特有の残尿感の原因を紹介します。
前立腺炎
前立腺炎は、膀胱のすぐ下にある男性特有の器官「前立腺」が、細菌感染などにより炎症を起こす病気です。
炎症によって尿道が狭くなることで、排尿するのが難しくなり、膀胱内に尿が溜まって残尿感を覚えます。そのほか、排尿痛や頻尿、股の間の痛みが症状としてあげられます。
急性前立腺炎と慢性前立腺炎があり、急性前立腺炎は尿路からの細菌感染が原因で、発熱や寒気などの症状があります。
慢性前立腺炎はストレスなどが原因で発症し、発熱はなく、鈍い痛みを伴うことが多いです。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、前立腺が大きくなる病気です。
大きくなった前立腺が尿道を圧迫することで排尿がしづらくなるため、膀胱内に尿が溜まって残尿感を覚えます。そのほか、頻尿や排尿困難などの症状もあります。
前立腺肥大症になる原因ははっきりとわかっていませんが、加齢にともなって発症しやすくなることから、男性ホルモンの分泌が影響していると考えられます。
残尿感に伴いやすい症状
頻尿 | 尿の回数が多い
残尿に伴いやすい症状のひとつが頻尿です。頻尿は、尿が近い・尿の回数が多い症状を指します。
頻尿の原因はさまざまですが、過活動膀胱や膀胱炎などの病気が関係しているもののほか、ストレス、ホルモンの変化も原因として考えられます。
尿失禁 | 自分の意思に反して尿漏れする
尿失禁とは、自分の意思に反して尿漏れする状態を指し、残尿感に伴う症状のひとつです。
尿失禁の原因は、骨盤底筋の筋力低下のほか、神経障害や排尿機能の低下などがあげられます。また、くしゃみや咳などをしたときに尿が漏れる「腹圧性尿失禁」や、急に強い尿意を感じて我慢できない「切迫性尿失禁」も尿失禁の一種です。
繰り返す尿漏れに悩み、外出を控えてしまうという方も少なくありませんが、原因を特定して適切な治療を行えば症状の改善が期待できます。
残尿感でムズムズして眠れないときの対処法

残尿感でムズムズして眠れないときの対処法には以下があります。
- こまめに水分を摂取する
- 尿漏れパッド、紙パンツを利用する
- 市販薬を服用する
膀胱炎のときは、こまめに水分をとって尿が出る状態を保つことで、膀胱への負担を和らげることができます。ただし、寝る直前の大量の水分摂取は夜間に何度も目が覚める原因になるため、量とタイミングを工夫することが大切です。
尿漏れパッドや紙パンツを利用するのも対処法のひとつで、残尿感による不安、切迫した尿意の不安を軽減して、眠れにくさの改善が期待できます。
残尿感とともに痛みで眠れないときは、痛み止めを飲んで一時的に対処する方法もあります。ただし、痛み止めは症状を改善させることはできないため、残尿感でムズムズして眠れないときは医療機関へ相談しましょう。
残尿感が続くときの受診の目安
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 残尿感、排尿痛が続いて日常生活に支障がある
- 頻尿で夜中に何度も目が覚めて睡眠不足が続いている
- 腰や背中に痛みがある
- 尿が出にくいと感じる
- 症状が数日以上続いている
- 市販薬を飲んでも症状がなかなか改善しない
- 糖尿病などの持病がある
内科や泌尿器科を受診して、原因を特定して適切な治療を受けましょう。
当院は糖尿病などをはじめとした生活習慣病の予防や治療後の管理を行っています。残尿感や頻尿でお困りの方は当院へご相談ください。
残尿感の治療法
薬物療法
残尿感の治療は、検査結果にもとづいて原因に合わせた治療を行います。薬物療法で使用する薬剤には以下があります。
- 抗生物質
- 過活動膀胱治療薬
- 前立腺肥大症治療薬
- 鎮痛薬
細菌感染による尿道炎や膀胱炎の場合には、抗生物質が用いられます。
また、過活動膀胱治療と診断された場合は膀胱の過敏性を抑える治療薬、前立腺肥大症と診断された場合は前立腺による排尿トラブルを抑える治療薬が用いられます。
そのほか、排尿痛を伴う場合は鎮痛剤も処方されます。治療薬は医師の指導のもと、用法用量を守って正しく使用してください。
手術療法
手術療法は、薬物療法で症状が改善しない場合の選択肢となります。
患者さまの症状や状態によって手術内容は異なりますが、前立腺肥大症であれば前立腺の切除術「経尿道的前立腺切除術(TURP)」が行われます。
また、骨盤臓器脱が原因の場合は、下がった臓器を元に戻す「骨盤臓器脱修復手術」という手術が必要なこともあります。
手術療法は術後の管理も重要なため、医師の指導によるリハビリや定期的な検査を行い、回復を目指しましょう。
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当院は生活習慣病の予防や治療後の管理を行っています。
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